メーティスの瞳
待ち合わせ場所から洋一の家までは歩いて十分ほどだ。その間に、玲奈は洋一に寄生虫について熱く語っていた。

相変わらず玲奈の口から出てくるのは、寄生虫の恐ろしい話だ。その話に洋一は熱心に耳を傾けている。その時に、透の胸にモヤモヤした何かが走った。

何だこれ、と透は心の中で呟き、胸に手を当てる。モヤモヤはなかなか消えてくれない。

そうしている間に、洋一の家についた。彼はこの家で両親と妹と暮らしている。

「今日は両親は不在なので、ゆっくりして行ってください」

洋一はそう言い、リビングに透と玲奈を案内する。リビングのドアを洋一が開けた時、透は「は！？」と驚きの声を上げた。

広々としたリビングの床に、女性が横たわっている。その傍には、アルファベットの「u」と書かれたカードが置かれていた。

「真希！」

洋一が駆け寄り、透も「大丈夫ですか！？」と女性に駆け寄る。しかし、その体はすでに冷たくなっていた。

透はドアの近くに突っ立ったままの玲奈を見つめる。その目は見開かれ、何かに取り憑かれたかのように遺体を見つめていた。
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