メーティスの瞳



そして日曜日。玲奈はまるで少女漫画の主人公がデートに行く時のように嬉しそうにしていた。

普段はシンプルなパンツスタイルが多い玲奈だが、この日は刺繍の施された深い青のワンピースを着ていた。初めて見るスカート姿に透は思わず玲奈を見てしまう。

「透くん、玲奈に見とれてる?」

仕事が休みの美咲にからかわれ、「まさか!」と透は否定した。しかし、その顔は赤い。

「何している。早く行くぞ」

玲奈はそんな透を呆れた目で見つめ、かばんを手に外へ出て行く。その顔には漫画であるような恥じらいなどはない。それに少しだけ透はショックを受けた。

「宍戸さん、浜田!おはよう!!」

待ち合わせ場所に行くと、洋一はすでに待っていた。二人の姿を見つけるととても嬉しそうな顔を見せる。

「おい、お前の妹って本当に寄生虫大丈夫なのか?」

心配になり透が訊ねると、「話はしっかり聞いてもらう。写真も見せるつもりだ」と玲奈がウキウキしながら答えていた。洋一が「すみません、わざわざ」と苦笑する。
< 7 / 16 >

この作品をシェア

pagetop