僕の匂いが好きらしい

かすかな抵抗も虚しく、
彼女は僕の匂いを嗅いでいる。


「臭いでしょ……」

「ううん。好き。」




思わずキュンとしてしまった。


いや、"僕の匂いが"好きって言う意味なのは分かってるけど…



もし、本当に"僕"が好きだったら…


なんて、想像してしまう。


だって、これでも男ですから。




「半泣きなのはどうし…
いや、やっぱり聞かない方がいいかな」



「別にいいよ。試合で負けたのが悔しくて泣いただけ」



「そっか…」


会話が続かない。



彼女は僕の匂いを嗅いでいるが、
周りから見れば僕の胸に寄りかかっているように見えるだろう。



あぁ、駄目だ。また想像してしまう。



彼女は"僕の匂い"が好きなだけなのに。



なんだかいつもより弱々しく見える彼女が、
僕を頼っているように見えて、
思わず想像が多くなってしまう。




「いつもありがとう」

そう言って、
彼女は僕から離れると、



突然、彼女から涙が溢れた。
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