この愛にタイトルなんていらない〜卒業、君への想いにサヨナラを〜
彼はもちろん、同じ剣道部員数人が囃し立ててきました。もっと落ち着いた時に言えばよかったと思ったのですが、後の祭りです。

心臓は今までにないほどバクバク動き、顔が熱くなって赤くなっていると自分でわかりました。彼の顔を見たいのに、なかなか見ることができません。

「何?早く帰りたいんだけど」

彼のその言葉に、傷つきました。しかし、震える声で私は何とか言いました。

「す、好き……です……」

その刹那、返ってきたのは「無理で〜す!!」という彼のふざけたような声でした。周りにいた剣道部員も笑っていて、私の目の前が涙で滲みました。胸が、一瞬チクリと痛んでどうしようもなかったです。

しかし、勇気を出して想いを伝えられたからか私は明るく次の日も部活に行くことができました。莉亜ちゃんも失恋してしまったので、互いに「頑張ったよね!」と慰め合って傷を埋めました。

それから、中学生の頃は人を好きになることはありませんでした。
< 6 / 17 >

この作品をシェア

pagetop