転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
朝食はいつもひとりである。両親はともに、昨晩は夜会を楽しんでいたのだろう。とは言っても、仲良く参加したわけではない。それぞれ愛人を伴って、でかけていたようだ。前世ではありえないことだが、今世では愛人がいるなんてごくごく普通だった。というのも、貴族は政略結婚をするのが常である。そのため、伴侶となった者に愛はない。それゆえに、本当の愛を求めて愛人を迎えるのだ。

両親の夫婦仲は冷え切っていて、私もそれが普通だと思っている。前世の記憶が甦っても、考えは変わらない。

給仕係が並べてくれたのは、いつもと同じ品目である。焼きたてのパンに、白いソーセージ、ゆで卵にスープ、温サラダ、カリカリに焼いたベーコン。

パンは外はカリカリ、中はふわっと。バターをたっぷり掬って塗りまくる。太ったって気にしない。憂鬱な新学期なので、好きなものは我慢しないでおく。

パンの湯気が上がるほどアツアツの熱で、バターがじわーっと溶けていく。黄金色になったタイミングを見計らって、頬張った。

バターをたっぷり塗ったパンは幸せの味がする。もしも私が偉くなったら、格言として残したい。
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