転生したら、モブでした(涙)~死亡フラグを回避するため、薬師になります~
◇◇◇

二階の教室で、記念すべき一回目の授業を受ける。がらんとした広い教室に、私の机がぽつんと置かれていた。すぐ後ろに、モフタロウがお座りしている。

ひとりの生徒のために使うには大きすぎる黒板の前に、ローデンヴァルト先生が立つ。こうして教壇に立つと、先生らしく見えるので不思議なものである。

「まずは、基本的な魔法薬について話をする」

黙って聞いていたら、ジロリと睨まれた。返事をするようにと、注意されてしまう。

今までは大人数での授業を受けていたので、相づちなんて打たなかった。しかし、これからは一対一の授業である。いちいち反応しなければいけないのだろう。

「まず、魔法薬とはどのようなものであるのか、グレーテ・フォン・リリエンタール、答えられるだろうか?」

「はい。一般的な薬を魔法の力で活性化させ、すぐに効果が現れる便利なものかと」

「半分正解だ。もう半分は、魔法を用いながら作るというものだ」

「なるほど」

魔法薬の定義は効果だけではなく、魔法薬師が作るという独自の製法についても関係しているようだ。
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