白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)


「桃ちゃん
 朝ご飯食べるでしょ? 
 ご飯とお味噌汁、今、用意するね」


 はあ~

 王子様だ。


 このすべてを包み込むような温かい笑顔
 王子様にしか見えない。



 昨日までの私だったら

「十環先輩に、ご飯とお味噌汁を
 よそってもらっちゃった」って
 誰にも見られないところで
 飛び跳ねて喜んでいたと思う。


 でも今は
 そんな気持ちにさえなれない。


 とりあえず早く出て行って欲しい。
 せめて、このキッチンから。


 そうしないと
 十環先輩に隠したい私のダメダメ部分を
 私の目の前で
 兄たちに暴露されまくってしまう。


「十環先輩、いつ帰るんですか?」


 私のその言葉をかき消すように
 お願いだからこの部屋に来ないで!!
 と必死に願っていた相手が
 声を張り上げながら入ってきた。

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