同じ空の下~想い描いた2人の夢~
翌日、私たちは会場に着いて、ウォーミングアップを始めた。

私は今日は投げる予定は無いので、ベンチで皆を見守った。

回は順調に重ねていくが、両者無得点のまま試合は五回を迎えた。

春馬さんの辛そうな顔、腕がキツいのか…正直厳しそうだった。

私は春馬さんの身体が持つよう祈った。

遂に春馬さんは暴投をしてしまった。

タイムがかけられ、状況の判断を迫られる。

春馬さんはアッサリ身を引いた。

「…後頼む」と。

そして春馬さんは医務室へと向かってしまった。

マネージャーが春馬さんを追いかけた。

残された私と乃木くんは顔を見合せた。

主将は私たちを見た。

「どうしたい?」と

私は乃木くんを指名した。

乃木くんの力なら充分いけると私は判断した。

もともと今日は私は投げるつもりなんてはなから無かった。

けど、乃木くんは正直悩んでいるようだった。

主将は少し悩んだみたいだが、

「よし、わかった。樹がそう望むなら構わない。乃木頼めるか?」といって乃木くんは大きくうなずいた。

「なら、樹、あいつのところ行ってやれ」と主将に言われたので私は医務室に向かった。

そして、乃木くんはマウンドに向かい、皆も守備位置へと散った。

私は医務室の扉の前に立った。

中ではマネージャーと春馬さんが話している。

悪いと思いながらもつい、聞き耳を立ててしまった。

春馬さん、私にかっこいい所見せたくて少し無理してたって聞こえてしまう。

私は耐えられなくなって扉を開けてしまった。

「樹?!なんでお前…」と春馬さんが言う

「ごめんなさい、二人が話してる内容聞いちゃいました」と私が言うと、


春馬さんはばつ悪そうに俯いた。

「私が春馬さんのかっこいい姿みたい!って言ったからですよね?気づかず無理させてごめんなさい。ただ本当に最後の大会楽しんで欲しくて」と私が言うと

「わかってるよ。そんなこと。けどさ、大好きな彼女の前だよ?彼女の喜ぶ顔みたいじゃん。やっぱしさ。俺の投げてる姿が好きだって言うんだもん。カッコつけさせて欲しかったんだよ」と春馬さんは言った。

「春馬先輩は春馬先輩ですよ!どんな姿でもかっこいいです!ただ無理だけはして欲しくないです。乃木くんが後半は頑張ってくれますから」と私は言った。

痛み止めの注射を打って貰った春馬さんと一緒に私たちはベンチへと戻った。

ベンチに座ると早速感じた。

乃木君の本気…

憑依してる。しかも…春馬さんを…

それには春馬さんもさすがに気づいたみたい。

「アイツ、俺を憑依させたのか。流石だな」と春馬さんはボヤいていた。

乃木君の本気は凄まじいもので、圧倒的な技術で相手を抑え込んだ。

見事なピッチングだった。

そして、なんとかこの試合も無事勝ち上がることが出来た。

いよいよ、ベスト4までなんとかたどり着いた。

皆は奮闘したものの、優勝という大きな壁を超えることは出来なかった。

結果、3位だった。

皆の涙が伝わる。あと少しだった。

乃木くんも、皆も本当にカッコよかった。

優勝は逃したものの、高校史上最高の成績となった。

私達は学校に戻った。
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