王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました

「あの、クリスさんはどうしてますか?」

「……放っておくと沈んでしまうからな。今は毎日ケーキを作らせている。腕が痛いって言っているが、やることが無いと人間悪い考えにばかり行くもんだ。クリスにできることが無い以上は、なにかノルマを決めてやらせた方がいい」

「そうですね」

それでも不安だろう。母親が連れ去られて以降会えないのだ。想像するだけで、胸が痛くなってしまう。

「……もし可能なら、ロザリーも会いに行ってやってくれないか。君のことはとくに信用しているようだから」

「お友達ですからね」

「ああ。クリスも少しは気が紛れるだろうし、頼むよ」

「はい!」

レイモンドと話した後、ロザリーは会場に戻る。
既に閉会間際となっていて、主催者であるカイラがザックの無事を喜んでくれたことをみんなにお礼した。
ロザリーはザックとゆっくり話ことができないまま、食事会は終わってしまった。

< 78 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop