恋を知らない花~初恋~
「お待たせして申し訳ありません。お久しぶりです。」

私は到着すると城戸課長に挨拶をした。

「おぉ、川井さん、久しぶり。急な人事で大変なんだってね。お疲れ様。」

「はい、急な事とはいえきちんと挨拶出来ずに申し訳ありません、今日お会い出来て良かったです。」

城戸課長の横に座っている真中さんが視界に入った。
久しぶりに見る真中さんは少し痩せている気がする。

「本当に残念だよ。なかなか川井さんのような美人がお酌してくれる機会なんてないからね。うちの部署は男ばっかりで華がないから。たまには顔出してよ。」

「そう言っていただけて嬉しいです。これからは新人教育担当になりますので、呼んでいただけたら若い子たちを連れてお酌にまいります。」

冗談混じりにそう言うと城戸課長は楽しげに笑って村田課長や青木くんと何やら話始めた。
私は空いている席に座った。ちょうど真中さんの向かいだ。
真中さんは何か言いたげにこちらを見ている。

「お久しぶりです。城戸課長にご挨拶したくて…迷ったんですが、参加してすいません。」

「えっ?その、俺は顔見たくないとかそんな事ないです。あれっきりできちんと話がしたかったんです。きちんと謝罪も出来てなかったですし、あの日のことも…川井さんは何も悪くないのに。」

青木くんと城戸課長が盛り上がって話をしている隣でひそひそと声をひそめて話す。
何故だろう?真中さんを見ると心が痛い。
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