恋を知らない花~初恋~
「さすがにすっぴんの結衣を連れ回すのは良くないか?ご飯は家で作る?」

「そうだね~!その方が助かる。何食べたい?」

私は帽子をかぶってマスクをしていて最小限にしか顔を出していない状態だった。

「う~ん…お決まりの肉じゃが?ハンバーグ?何が得意?」

「ハハッ、野菜炒めとか…チャンポンとか…?」

「炒め物か…」

「クククッ冗談よっ。レシピアプリを見れば失敗せずにある程度のものは出来ると思うわ。」

私の冗談を本気にとられ、したり顔で私は言う。

「フッ、その顔っ、人間らしくて好きだよ。キレイに象られた顔も好きだったけど、感情が乗った方が可愛いぞ!」

拓也はそう言って力強く私の頭を帽子の上からワシワシ撫でた。

「も~!痛いよっ。」

そう言いながら照れた顔を見られないよう俯いた。
一瞬で顔から火が出そうなほど熱くなった。
キレイってほめられるのはなれてるし、努力してるからって当たり前だって思ってたけど可愛いって言われたのは子どもの頃ぐらいだから…

「じゃあ、今日はパスタにしよう。茹でて炒める簡単なヤツなっ!そしてビールっ!」

二ヒヒッて笑う拓也も子どもっぽくて可愛いかった。
拓也こそ綺麗に象られた表情ばっかりしてたのに…結婚してもずっとその顔のままでいるのはキツいんじゃないのかな?
これから結婚する拓也のことを思うと心が痛かった。
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