恋を知らない花~初恋~
「なぁ、結衣、真中に会いに行けよ。」

ここで急に真中さんの話になって驚いて拓也を見る。

「驚くことでもないだろ?ちゃんと自分の気持ちに素直になれよ。ひとまず相手がどうこうじゃなくて。」

「自分の気持ち…」

何だろ?何の話だろう?

「お前を縛り付けた俺が言うのもおかしいけどまだ間に合うかもしれないだろ?」

「何に間に合うの?」

頭の中にはハテナしか浮かんでこなかった。

「マジでわからない?じゃあ俺と過ごした2か月を真中と同じように過ごしたとしたら?」

真中さんと過ごす?
私は拓也と過ごした日々を真中さんと過ごす想像をしてみた。

ドッドッドッドッ

急に胸が苦しくなり呼吸がし辛い…
顔が熱くなり、さらに鼓動が速くなる気がした。

なんで?拓也とならリラックスして過ごせたのに真中さんとはリラックスできそうにはない…それどころかソワソワと落ち着かない何か胸の疼くような感覚があった。

「ククッ、お前は本当に可愛いな。その顔を真中が見たら泣いて喜んだだろうな。」

拓也はしたり顔でこちらを見ている。

「何よ、よくわからない。それにどんな顔なの?」

「気づけよ、その甘酸っぱいような感覚が恋なんじゃないの?」
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