ボードウォークの恋人たち
その余裕たっぷりの顔にちょっと腹が立つ。

「ハ・ル」
小さく囁くと「ん?」と顔を寄せてきたハル。
その唇にちゅっとリップ音をさせた軽いキスをしてやると驚いたように一瞬ハルの動きが止まる。
その隙に彼の足を思いきり踏んでやった。

「うっ」
小さくうめき声が聞こえたような聞こえないような。
それをきっちり無視して手を振りながら参列者に向けて晴れやかな笑顔を振りまく。
そうだ、彼の隣に堂々と立つ自分になってやるんだ。

ハルが美形なのはもう仕方ない。仕事が出来るのもモテるのも事実なのだから受け入れるしかない。卑屈になっても仕方ない。

「みおー!」
詩音の声の方に顔を向けると琴さんが詩音の隣でブンブンと大きく手を振ってくれていた。

「みーちゃーん、最っ高に可愛いわよー!」

大人美人な女優の大声に周囲がざわついたものの誰もが琴さんの無邪気な笑顔に魅了されたように笑顔が伝播していく。

「ありがとー、琴さぁーん!」

「みーちゃん、幸せになってねー!」

「はーい!ハルと一緒に幸せになりまーす」

途端に両足が地面から離れてハルにお姫様抱っこをされた。
落ちないように慌てて彼の首の後ろに両手を回すと、ぱちりとお互いの目が合った。

「水音」
「ハル」

お互いの名を呼び微笑み合う。

私たちの人生はしっかりと交わりずっと続いていく。
この先、何があっても互いを尊重し、慈しみ支え合っていく。
ハルと私が歩く道はしっかりと組まれたボードウォークで砂上の楼閣などではない。
何かあってもまたしっかりとボルトを繋ぎ直し質実剛健な造りに戻せばいい。

唇にぬくもりを感じまた幸せに浸った。





~終わり~
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