ボードウォークの恋人たち
ようやく身体が温まり、今後のことを決めるのは今日のハルの誕生祝いが終わってからにしようと気持ちを落ち着けた時には結構な時間が経っていた。

ハル気にしているかなーーーハルの姿を探してリビングに顔を出してみたけれどその姿はなくキッチンにもいなかった。
あとは、自分の部屋かもしくは出掛けたか・・・。

ハルの部屋のドアをノックしようとしてーーーやめた。

中からぼそぼそとハルの声がしていた。誰かと電話をしているらしい。それも仕事の会話をしているのではなさそう。笑い声もしていたから。

昨日の夜にかけてきた人かもしれないし他の親しい人かもしれない。もしかしたらさっき会った女性かもしれないしもっと親しい女性かもしれない。

また胸の奥がモヤモヤしてきて指先が冷たくなってくる。
たぶんまた酷い顔になっている。

もう、本当にどうしろというのだ。電話くらい誰だってするだろうし、友達だっているだろう。今日が誕生日なのだから一緒にお祝いしたいって思ってる女たちはいっぱいいるだろう。そんなの当たり前。だってハルだもの。
今さらそれが何だというんだ、私はハルの親友の妹。
私はある意味では他の女たちと一線を画したハルの特別。もうそれでいいじゃない。

私は静かにハルの部屋のドアから離れキッチンに向かった。
ハルのリクエストの夕食を作るため。

今日はハルの誕生日。
会わなかった分のお祝いをすると決めたのだから最後まできちんとしよう。
次の誕生日のお祝いは一緒にいないと思うから。

ハルのリクエスト通りの料理を並べたけれど、私の体調を心配するハルとトラウマを刺激された私の気持ちが上向くはずもなく、ギクシャクしたものとなってしまったのだった。
食後すぐに私は早く寝た方が良いと食後の片付けもさせてもらえず部屋に戻された。

もやもやした気持ちのままベッドに入っても眠れるはずもなく、ようやく眠りについたのは明け方近くのことだった。
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