メーティスの頭脳
「透くん!これにしよう!」

美咲が手に取ったのは、有名なゾンビ映画だった。グロいとゾンビ映画が好きな人たちの間で話題になっていると透は聞いたことがある。

「それ……本当に見るんですか……」

「もちろん!あっ、そうと決まればコーラとポップコーンの準備しなくちゃね!」

そう言い、美咲はキッチンに向かう。透はもう見るしかないのかとソファに座った。正直言うと見たくない。あまりホラーやグロテスクな映画は得意ではないからだ。

「どんなに怖くても、グロくても、結局は作り物でしょう。そんなに真っ青な顔をする必要はない」

いつからそこにいたのか、透は玲奈に話しかけられた。ギリシャ神話に登場しそうなこの美人な女性は、寄生虫をとても愛している変わり者だ。

「そう思っても怖いもんは怖いんだよ。まあ、お前は普段から寄生虫寄生虫って言ってるから平気だろうけどな」

玲奈から顔をそらそうとして、透はあることに気づく。普段着ている白衣を玲奈が着ていない。
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