メーティスの頭脳

うまく隠し通せるか、笑えるか、透は心配になった。



透と玲奈と美咲は、亡くなった男性ーーー山中真（やまなかしん）と一緒に旅行に行った人物に話を聞くためにその人の家へと向かう。

「仕事に行ってたらどうするんだよ？」

「その時はその時だ」

透を見ることなく、玲奈は静かに言う。そして研究所から二十分ほど車を走らせ、透たちは立派なマンションの前に立った。

「すごい！ここって家賃が高いことで有名なマンションだよ。でも、セキュリティとかしっかりしてるんだよね」

美咲がマンションを見上げる。透は、こんなところに住む機会など永遠にないだろうと思いながらマンションの中へと足を踏み入れた。

幸いにも、一緒に旅行に行った安藤良太郎（あんどうりょうたろう）は仕事が休みだったようですぐに話が聞けた。

立派なリビングに案内され、玲奈が早速口を開く。

「あなたと真さんは、××日から××日の間に××県に旅行に行っていましたね」

「……はい。真から誘われたんです」