完璧御曹司の優しい結婚事情
「お、お待たせしました」

「今日は付き合ってくれてありがとう。さあ、乗って」

助手席に乗るよう、スマートにエスコートされる。こういうことを、さらっとできてしまうところが人とは違う。やっぱり社長の息子ともなれば、そういったマナーなんかも幼い頃から身につけているのだろうか。
課長も運転席に乗り込むと、静かに車を走らせた。この車に乗せてもらうのも、もう3回目になる。

「今日はランチにカジュアルなイタリアンのお店を予約しておいたから。ゆっくり食べてから、お参りに行こうと思ってるんだ」

「わかりました。よろしくお願いします」

「そんなにかしこまらないで。ここは職場じゃないからね」

「そ、そうですね」

そう言いつつも、なかなか緊張の解けない私を、課長がクスリと笑う。

「じゃあ、ついでに。今日は課長呼びもやめてくれるかな?そんなふうに呼ばれると、ちゃんとしないとって思ってしまうから」

課長でも、〝ちゃんとしないと〟なんて思いながら仕事をしているんだ。すごく意外だ。そんなことを考えながらも、呼び方を指摘されて内心ドキドキしっぱなしだ。



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