完璧御曹司の優しい結婚事情
「真っ赤になっている川村さんも可愛いけど、信じられないって顔をしてるね?」

これほど的確に読まれてしまうぐらい、心中が表情に出ているようで、ますます恥ずかしくなってくる。

「でも、信じて欲しい。僕は君が好きなんだ」

「え、えっと……」

「戸惑うよね。いきなり上司からこんなことを言われて。そうだなあ……僕がどうして君のことを好きになったか聞いてくれる?」

それはぜひとも聞いてみたい。こんな素敵な人が、どうして私を好きになったんだろう。私は首を縦に振って、真田さんの話を聞いた。

「香穂とのことがあって以来、前にも言ったように、自分は人を愛する資格のない人間だと思ってきた。実際、誰に誘われても心は動かなかったし、自分の性格上、割り切って遊ぶなんてこともできない。僕の日常は、つい少し前までもやのかかったモノクロの世界だった。心を動かさせれるものは、何一つなかった」

真田さんは窓の外に目を向けて、コーヒーを一口飲んだ。暑さのピークの時間帯は過ぎているとはいえ、外はまだまだ日差しが強くて、一歩踏み出しただけで顔をしかめてしまいそうだ。

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