完璧御曹司の優しい結婚事情
「い、樹さん、言い過ぎです。か、可愛すぎるだなんて。課長の時の姿と違いすぎです」

「これも僕の本当の姿だよ。でも、誰かに対して、甘やかしたいとか独占したいとか、こんなふうに思うのは初めてだよ。葉月を前にすると、たがが外れたようになってしまうみたいだ。だから、こういうものだと思って諦めてね」

甘い。甘すぎる。
樹さんは、どうしてこれほどまで私を好きでいてくれるのだろうか。こんな素敵な人なら、私よりももっと綺麗な人とか、いくらでも選ぶことができるだろうに。久しぶりの恋だって言ってたけど、久しぶりすぎて感覚がおかしくなっているんじゃないか。

裏を返せば、ここまでしてもらっているのに、私の中にはまだまだ不安な気持ちがあるんだと思う。取り立てて優れた容姿でもない私。仕事だって、際立ってできるわけじゃない。それどころか、ほかに代わりが効く仕事だし。家柄は至って普通な上に、両親もいない。
こんなふうに考えるなんて、自分でも面倒な性格だと思う。でも、考えれば考えるほど、樹さんとの差を感じるばかりで、さすがに落ち込んでくる。


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