完璧御曹司の優しい結婚事情
お茶をいれて、一息ついた。

「太郎君ね、最期はすごく穏やかな表情だったのよ。猫って、死際は見せないって言うけど、太郎君は違った」

どら焼きを食べながら、おばあちゃんが話してくれる。私が立ち会えなかった、太郎君の最期の様子を聞いていた。

「すっかり食も細くなって、寝てばかりだったのにね、突然大きな声で鳴き出したの。何かを訴えるようにね。太郎君に促されるように後をついて行ったら、はづちゃんのの部屋に入ったのよ。はづちゃんがいつも使ってたクッションの上で丸まってた。しばらく撫でていたら、だんだん呼吸が浅くなっていってね、そのまま穏やかに息を引き取ったのよ。寂しいけど、これまで病気一つしないでらこられたのは、本当によかった」

「そうだったんだ。一人で旅立つことにならなくてよかった。おばあちゃん、ありがとうね」

太郎君は幸せだったのかなあ。少なくとも、私達家族は太郎君から幸せをいっぱいもらった。

太郎君とちゃんとお別れができて、区切りをつけられた気がする。寂しいのには変わりないけど、もう大丈夫だ。


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