完璧御曹司の優しい結婚事情
部長に促されると、北沢さんはざっとフロアにいる面々を見渡した。その美しい顔に上品な笑みを浮かべると、さすが秘書で社長の娘、余裕たっぷりという雰囲気で自己紹介をした。

「北沢茉莉花と申します。この度、縁あってこちらでお世話になることになりました。少しでも皆様のお力になれるよう、精一杯勤めさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします」

北沢さんは、これぞお手本かというような、美しいお辞儀で挨拶を終えた。辺りから、うっとりとしたため息が聞こえてくる。外見も動作もどこをとっても上品で、なんとなく私とは違うということをまざまざと見せられた気になる。

「北沢さんには……河村さんを中心に、今井さんが担当していた業務の引き継ぎを頼む」

「は、はい」

いきなり部長に名指しをされて、ビクリとする。樹さんに目を向けると、「よろしく」と言うように、軽く会釈をされた。



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