完璧御曹司の優しい結婚事情
しばらくすると、そっと体を離された。それが無性に寂しくて、樹さんを見つめる。
「この週末は、社長の代理でパーティーとか接待が入ってしまったんだ」
樹さんはいずれ会社を継ぐ立場にある人だ。異動も決まったし、着々とその準備が進んでいるのだろう。
ますます自分との差が広がっていく。そんな不安が顔に出ていたようで、樹さんは困ったように目尻を下げた。
「葉月、日曜の接待は昼間の予定なんだ。終わったらまっすぐ帰れそうだから、夕方頃、僕のマンションで待っていてくれないか?」
今週末は会えないと思っていたから、嬉しくて考える間もなく頷いた。
きっと私の顔には満面の笑みが浮かんでいると思う。樹さんも、私にだけ見せる柔らかい笑みを返してくれる。
「ごめん、時間がないからそろそろ行くね」
「日曜日、夕飯を作って待ってる」
樹さんは嬉しそうに微笑むと、持ち場に戻って行った。
会いたかったのは自分だけじゃなかった。
大丈夫。北沢さんのことは噂でしかない。日曜日、樹さんにちゃんと聞けばいい。
たった数分の逢瀬で、心が軽くなる。
次につながる〝約束〟が、これほどまで安心させてくれるなんて初めて知った。
「この週末は、社長の代理でパーティーとか接待が入ってしまったんだ」
樹さんはいずれ会社を継ぐ立場にある人だ。異動も決まったし、着々とその準備が進んでいるのだろう。
ますます自分との差が広がっていく。そんな不安が顔に出ていたようで、樹さんは困ったように目尻を下げた。
「葉月、日曜の接待は昼間の予定なんだ。終わったらまっすぐ帰れそうだから、夕方頃、僕のマンションで待っていてくれないか?」
今週末は会えないと思っていたから、嬉しくて考える間もなく頷いた。
きっと私の顔には満面の笑みが浮かんでいると思う。樹さんも、私にだけ見せる柔らかい笑みを返してくれる。
「ごめん、時間がないからそろそろ行くね」
「日曜日、夕飯を作って待ってる」
樹さんは嬉しそうに微笑むと、持ち場に戻って行った。
会いたかったのは自分だけじゃなかった。
大丈夫。北沢さんのことは噂でしかない。日曜日、樹さんにちゃんと聞けばいい。
たった数分の逢瀬で、心が軽くなる。
次につながる〝約束〟が、これほどまで安心させてくれるなんて初めて知った。