完璧御曹司の優しい結婚事情
「ごめんね……ごめんね……私のせいで……」

今でもたまに見る、あの場面だ。寂しくって、苦しくって、これが夢の中だってわかっていても胸が潰されそうになる。

ああ、まただ……

諦めにも似た感覚で、襲ってくる罪悪感に耐えようと、体にギュッと力を入れると、どこからか温かい声がした。

「どうした?大丈夫か?」

肩を揺する大きな手……

「川村さん、大丈夫か?」

「えっ……」

いつもの夢の結末と違うことに戸惑って、必死に目を開ける。

「何を泣いているの?嫌な夢でも見たの?」

大きな手が、私の目から溢れる涙を優しく拭ってくれる。

「さ、真田……課長……えっ!?」

視界に飛び込んできた真田課長に驚いて、一気に意識が覚醒していく。
急いで辺りを見回した。全く見覚えのない部屋にいるようだ。

自分の体に目を向けると、通勤用の服を着ていた。
寝かされていたのは大きなベッドの上。目の前には心配そうにこちらを見つめる真田課長……だよね?スーツでビシッときめている見慣れた姿とは違い、黒のスウェットパンツにTシャツというラフな格好で、髪は少し濡れているようだ。


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