完璧御曹司の優しい結婚事情
「課長。私ももっとお手伝いします」

おもわず出した大きな声に、課長は驚いていたけれど、やっぱりあの笑みを浮かべたまま、今夜はもう帰るように繰り返す。それがたまらなく悔しくて、さらに大きな声で言った。

「ここで私を使ってもらえなかったら、ここまで育てていただいた意味がありません。男女に関係なく、使える人は使うべきです。課長も鈴木さんも、日に日に疲れが溜まっていて……
部下に、自分だけ早く帰ることを申し訳なく思わせたり、自分がもっと手伝えていたらって後悔させたり、そんなことさせないでください。私、私、後悔したくないんです」

課長はしばらく目を見開いて、私を見つめていた。私は不意に熱くなってしまったことが恥ずかしくなって、俯いた。でも、言ったことに後悔はない。

「そうだな。川村さんは後悔したくないって、いつでも頑張る人だった」

穏やかな声音に顔を上げた。課長は真剣な目で私を見つめた。
私の顔に笑みが広がる。

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