「No title」


ガラスの散乱したトイレに閉じ込められてしまった私はなぜか冷静だった


冷静でいないといけなかった


散乱したガラスで手を切ってしまったからだ

突き飛ばされた拍子に捻った足もジンジンと痛む。


深く切れてしまったのかジワジワと血が流れた



私は落ち着いてブレザーのポケットに入っていたハンカチで傷口を抑える


痛みに顔を歪めながらも


早く助けを呼ばないとと思った私は割れた窓から外を見る



ここから見えるのは裏庭


それに今は放課後


部活は裏庭とは逆の運動場でしているし


ここは立ち入り禁止の旧校舎



考えれば考えるほど最悪な状況だと気づく



こんな時に限ってスマホは教室に置いたままのカバンの中



ジワジワとハンカチに血が滲む



裏庭には誰も現れる気配がない






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