冷酷姫に溺れて。

目が覚めると、見たことある天井だった。

そして近くにはゴスロリのドレスが置いてある。

私は誰の家か一瞬で分かった。

「入井くんっ」

「霜月さん、体調は大丈夫?」

「うん」

なんでこんなに優しくするの?

私は散々酷いことしたのに。

「朝から体調良くなかったんだよね。気付けなくてごめんね」

「なんで……」

私は涙が押さえきれなかった。

「私なんかに優しくするの!?私は入井くんをたくさん傷つけた。それなのにどうして?」

「霜月さんだからだよ」

入井くんは涙を拭ってくれた。

「出会った日、霜月さんは冷酷姫なんかじゃない可愛い女の子だって知った。
それに誰よりも優しい子だって。
俺はすごく守りたいって思った。冷酷に見せているのは仕方なくて、本当は温かい人だと思ったから」

私のことを見ててくれてたんだ…。

「俺は霜月さんのことが好きだ」

「わ、私は…」

私だって入井くんのことが好き。

でも入井くんには吾田さんがいる。

彼女の幸せは奪えない。

「ごめんなさい」
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