冷酷姫に溺れて。
俺は霜月さんを家に送った。

「一人で帰れる?」

「うん」

俺も帰ろうと歩き出した。

「今日は助けてくれてありがとう」

後ろから叫ばれて驚いた。

「今日はゆっくり休みなよ」

俺はそれだけ言って、また歩き出した。




それにしても会長はとんでもない奴だな。

俺も用心しないと。



家に帰ると父さんと母さんはラブラブしていた。

またか。

こっちの気も知らないで。

「千影、おかえり」

「なんで俺を置いてったんだよ」

「諸事情があってな。で、なんで二人はラブラブしてんの?」

「俺さ、ずっと会長はりりのこと好きだったと思ってたんだけど、違ったらしいんだ」

は?

「よかったと思って安心したら、りりにといちゃつきたくなったんだ」

知らねぇよ!

こっちはな、霜月さんに触れたくても簡単に触れられねぇんだよ!

父さんはいいよな、昔から母さんと両思いで。

「千影が好きな女の子の名前って何?」

「霜月理紗だけど」

「可愛いよね。あの子」

は!?

「ほら、咲奈に写真みせてもらったのよ」

あいつ……。

「千影って面食いなんだな」

お前だけには言われたくねぇよ!!
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