和服探偵
「どうしよ……。僕、亜梨沙ちゃんみたいにきちんと食べられるか心配になってきた……」

顔を真っ青にする僕に、亜梨沙ちゃんはそっと僕の手を上から重ねて言った。

「リラックスして。とりあえず最低限のマナーを守れたら大丈夫だから」

「う、うん……!」

しばらくして、司会者の人が「新郎新婦の登場です!!」と会場を盛り上げる。扉の方を見ると、豪華なドレスに身を包んだ花嫁さんと、立派なタキシードを着た花婿さんが仲睦まじく入場してきた。会場は拍手で包まれる。

それから、花嫁さんが両親にスピーチを読んだり、互いの友達や上司からのスピーチがありながら、披露宴も順調に進んでいった。

僕は、亜梨沙ちゃんの教えてくれたマナーを思い出しつつ、亜梨沙ちゃんの方を時々見ながら何とか食事と披露宴を楽しんでいた。結婚式や披露宴ってこんな感じなんだな。

そして、食事が一通り終わった頃、スタッフさんたちが忙しそうに食べ終わった食器を回収してデザートと飲み物を配り始める。
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