爽やか王子の裏側は
園川くんと長谷川くん




放課後、言われた通り旧校舎に向かう



こ、怖いな



チクられてたらどうしよう



長谷川先生の車、まだあるし…



うぅ



いつもより重い足取りで旧校舎に向かう



!!


♪〜



ピアノの音だ


この芯のある音は…


長谷川くんだ


さっきまでの重い足取りを忘れてスイスイと階段を上る


キッ…


扉を開けると


…っ


「王子様…」



「え?」



音が止まった



え、ま、いま、私声出てた?



「王子様って俺?」


!!!


「いや、ちが、いや、ちがくな、え?ま、いやですねあの…」


う…


「あんまりにも綺麗だったので…」


ペダルにかかる長い足


ピアノと同じ色をした艶のある髪と、それがよく似合う白い肌


夕日を受けて輝いている


「俺が?」


ま、まあ…


「へぇ…お前俺のこと嫌いなんじゃないの?」





「だ、だからそれは訂正しました」


「ふーん。じゃ好きなの?」


「なっ違います」


「はは、冗談だよ」


冗談言うのかこの浮き沈みのない顔で


「なんですか?呼び出して」


「ん、ああ。伝えとこうと思って。」





「兄貴に許可取ったからいつでも使っていいよ、ピアノ」


……


「へ?」


「ここのピアノ。あんたならいいってさ」


…えっと…ん?


「だーかーら、旧校舎のこのピアノ。兄貴が居ても居なくても、好きなときに弾けばいいってさ。」


え、


ここのピアノを?


「俺からお願いしてやったんだよ。」


ほ?


「長谷川くんが」


「うん。だから報告のため。」




< 106 / 292 >

この作品をシェア

pagetop