爽やか王子の裏側は
「…何急に」
「長谷川くんはピアノ好き?」
「…好きっていうか…ずっとやってきたから身についてるだけで…」
「私は好きか嫌いか聞いてるの。どっちかで答えて」
長谷川くんは一度顔をあげて私の目を見た後、俯いて
「好きだけど」
重い口を動かした
「私も。じゃあ…陸上は?」
再び顔が上がった
「は?…兄貴から話聞いたのか」
「お兄さんからは聞いてないよ。そういうのは本人達の口から聞かないとダメな気がして…」
「…てことは…あいつから聞いたの?」
…
「うん」
長谷川くんはだらっとしていた体を起こして
息を漏らす
「ハw…馬鹿にしてただろ?
アホなこけ方して陸上生命たたれるとかさ。でもあいつの方がバカだろ?理由もなく陸上やめて」
いつも無表情の長谷川くんは珍しく表情を崩していた
からかうように片方の口角を上げ、少し上擦った声で早口にそう言う
長谷川くんは感情的になると強く顔に出るみたい
「弱っちいんだよあいつは。俺なんかに影響されて、せっかくのチャンス掴み損ねて、ただのバカ…本当バカ」
ハハっと笑った
「…長谷川くん」
「もうあいつとはなんの関係もないし、これから関わることもないだろうからいい。っていうか、そいつの話やめてくれる?腹立つから」