爽やか王子の裏側は
サアーッ
雨の音が教室に響く
午後の授業は一段と眠い
先生いなくて自習だし、雨だとやる気出ない
自習だと騒がしいクラス
まともに勉強する奴なんていんのかな
ま、実際俺も本読んでるしな
窓際一番後ろの席から廊下側に首を向ける
やっぱりどいつも話したり寝たり、自習に取り組む奴なんて…
あ
廊下側の一番後ろの席に目が止まった
ノートに黙々と何かを書き込んでいる西村
数学の問題でもやってんのかな
教科書をペラペラと行ったり来たりしている
さすがだな
ちゃんと勉強してる
思わず口角が緩んだ
ふと教科書をめくる西村の右手が止まり
黒いサラサラの髪に触れた
その手がスッと顔を横切り
左耳、俺側の耳に髪をかける
ドキ
そのさりげない仕草に心臓がなった
黒い髪が耳にかかり、白い綺麗な横顔がはっきりと見える
横顔だから なお分かる高くて形のいい鼻と桜色の頬
長い睫毛のかかる 人より茶色い瞳
やば…
手の力が抜け持っていた本がパラパラと閉じていく
それなのにその横顔から目が離せないほどくぎづけになる
…キモいな俺
何見てんだろ
なんて思いながらもその視線が動くことはなかった
一枚の絵のような1人のクラスメイトに完全に目を奪われた
うるせぇ心臓
ここまで聞こえる音でバクバク鳴ってる