爽やか王子の裏側は



「さっきからため息ばっかだな」





「兄貴」


部屋の前で腕を組んで俺を見ていたのは兄貴だった


「風呂空いたよ」


「あーうん」


「なんだよお前らしくないな。悩み事か?」


…まぁ


多分人生でいちばんの悩み


「もしかして、この前店に来た可愛い子?」




な、なんでわかるんだよ


「やっぱりかぁー」


…くそっ


「恋の悩みかぁ。青春だねぇ」


お見通しかよクソ兄貴


「なんで悩んでんのか知らないけど男ならちょっと強引な方がいいって」


やりすぎたんだよ馬鹿


「まあでも女って結構些細な言葉に傷ついたりするから慎重に扱わなきゃいけないけどな」


どっちだよ


「でも結局はお前の気持ちの強さだぞ」


はぁ?


「傷付かずに恋愛できるとか夢のまた夢だからな?多少は悩んで、傷ついた方がいい恋愛はできるんじゃねぇの?
お前の気持ちが強けりゃ少しの難関くらい超えられるって」





「…うるせ」


「はぁ?人のありがたいアドバイスを」






気持ちの強さね…


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