年上同期の独占愛~ずっと側に
私と付き合い始めたころには、離婚してからだいぶ時間がたっていたので、私は全くと言っていいほど気にしていなかった。
しかし付き合いだしてしばらくした頃、彼の部屋に遊びに行っていたとき、彼が車に置いたままになっている荷物を駐車場まで取りにいっる間、私は部屋に一人で留守番をしていた。その時に置いたままになっていた彼の携帯に着信があったが、帰ってきたら折り返しするだろう、と思い、気に留めなかった。ところが、携帯が鳴りやむとすぐ部屋の電話が鳴りだした。

実はこの部屋は、彼がちょうど引越しを考えていた時期だったので、私と一緒に不動産を回り、二人で決めた部屋だった。引越しが済み、部屋の電話はどうしようか、と二人で話、両親などと長話をするときはやっぱり家電がいいんじゃないか、ということになり、私の名義で電話を取り付けた。その電話番号を知っているのは彼の両親くらいだと思っていた。

留守電に切り替わると

「私です。後で電話くださーい」

女性の明るい声が聞こえてきた。
『私です』と名乗らずにそう言うということは、かなり親しい女性だということがわかる。元奥さんだろうか。元奥さんだとしても、別れて三年もたち、私という恋人がいても、まだ連絡を取り合っていることがショックだった。いや、しかし、元奥さんではない可能性もある。
二股かけられたりしたらたまったもんじゃない、と思い、悩んだあげく彼に直接聞いてみた。

やはり、元奥さんからの電話で、少し前に、彼の名義のままになっている車をずっと元奥さんが乗っていたのだけど、今回売ることになったので、その手続きの話をしてきたらしい。その時に引越ししたんだ、と言ったところ、つい流れで家の番号を教えてしまったとのことだった。今回の電話も恐らく車の件だろう、と言っていて、嫌な思いをさせて本当にごめん、と何度も謝っていた。

私は留守番電話から聞こえてきた声が、とても仲良さそうに聞こえてとても不安だった。勝手な思い込みだが、離婚後お互いに顔も見るのも連絡を取るのも嫌だ、という間柄だと思い込んでいたので、しばらくわだかまっていた。

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