裏切り

翼side


優の知り合いの弁護士さんを
紹介してもらった。

飲みに来てくれる
お客さんだとか。

奥菜先生は、とても感じの良い
力のある、正義感の強い
弁護士さんとか

今日、予約をとった。

奥菜法律事務所につくと
女性とすれ違った·····
えっ?と、思うが
女性がよけてくれたので
頭を下げて横を通過した。

奥菜先生を待たせるわけには
行かない

あの女性だと
わかったが
今日は、致し方ない。

だが·····初めて会う
奥菜先生は、
熊みたいに大きな人だった。

先生は、俺の話しと
探偵からの報告書を見て
「またか」
と、小さく呟いた。

なんだろうと思っていると
「嫌、すみません。
なんでもありません。
で、進藤さんは、どうお考えで?」

「俺は、なにも要りません。
ただ、一日も早く離婚したいだけです。」
と、伝えると
「わかりました。
離婚届は、奥様に渡して
あるのですね。
それでは、私に奥様の連絡先を
教えて下さい。
私の方で、後は行います。
ごねるようなときは、
またお知らせします。
それと、慰謝料は、
必要ないのですね?
ですが、夫婦になりましたら
共有財産となりますから
お二人で折半となります。
住まいは、賃貸ですから
株や保険、預金等になりますが。」
「慰謝料は、必要ありません。
共有財産でしたら、預金だけで。
株とかしてません。
保険は、お互いにかけてますが
名義を変えるだけで
預金は、分けて下さい。」
「奥様が、浪費しているかも
しれませんよ。
良いのですか?」
「構いません。
別れられるなら。」
「そうですか。
わかりました。
相手には、なにもしなくて
いいのですね?」
「はい。
相手に、要求はありません。」
「わかりました。
それでは、早急に進めさせて
頂きます。」

俺は、先生に改めてお礼を伝えて
事務所を後にした。
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