裏切り

大典side②


俺は、二度と夏海には
会わないと決めていたから
夏海が待っていると
連絡があったカフェには
行かなかった。

前の夏海とは
違っていたように感じたが
俺は、自分自身の過ちで
千亜季に去られた。

だから共犯の夏海にも
振り回されたくなかった。


そんな俺を辻が心配そうに
「先輩大丈夫ですか?
外線の電話から
なんか変ですけど。」
「本当に、お前って
良くわかるね。
うん、なんとか大丈夫。
ありがとな。」
俺の方が先輩なのに
毎度、毎度、心配かけているなぁ
情けない。

そう思い
「辻、今日何もなかったら
飯行こうか?
飲まないけどな。」
と、言うと
少し心配気な顔をして
「先輩の奢りで?」
と、ニヤケながら言うから
「ああっ。」
と、こたえるとすぐさま
「行きます、行きます。」
と、笑ってくれた
だが、
「あっ、でも、彼女大丈夫か?」
と、こちらが心配になり訊ねると
「あ~、別れたんです。」
「まじで?俺のせい?」
「違いますよ。
ただ、今は、先輩が心配なのと
まだ、運命の人に
出会えてないだけですよ。」
「運命ね······いたいなぁ」
「あ~っと、すみません。」
と、いいながら頭をかく辻に

辻がいてくれて良かった。
と、感謝しながら
その日は、過ごした。


後に、夏海に大変な事が
起こっていたのを
知ることになるのだが····
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