渇愛の姫


肩にかかる手、宥めるような蒼空の声を無視して既にボコボコの男を更にぶん殴った。




「結雅…いい加減にしろ!!」


視界が激しく揺れた。

それは、蒼空に殴られたから。



「それ以上やったらそいつは死ぬ。…今はそんな奴より結愛ちゃんの方が先だよ。」



結愛を抱き抱え、蒼空は階段を下りていく。


…蒼空が止めてくれなかったら俺はきっとコイツを殺してた。







「結愛……」


運んでいるのは蒼空なのに、

ただ、階段を下りているだけなのに。

























「行くな…──────」








まるで、遠い所へ行くような気がした。



















結雅side end





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