渇愛の姫
「…った…」
力強い抱きしめ方とは裏腹に、か細い声。
「何か言った?」
よく聞こえなくて聞き返すと、また抱きしめる力が強まった。
私の存在を何度も何度も確かめるように。
「よかった、結愛が無事で。」
もう何時間この人を不安にさせたままだったんだろう。
桜雅という暴走族のトップで、冷酷だとか鬼神だとか呼ばれて。
誰よりも強くて、怖そうに見えて意外に涙脆かったり。
「あ、そうだ。…名前考えてくれた?」