チョコレートみたいな恋
甘くて濃厚な日々【side 優真】
今日はバレンタインデー当日。
毎年、女の子が数多くのチョコレートをくれるが今年は片思いしている女の子、柚葉(ゆずは)ちゃんからしか貰ってない。それ以前に柚葉ちゃん以外はチョコレートを持って俺の前に現れてはいないけれど、今年は柚葉ちゃん以外からは受け取らないと決めたから、それで良かった。

朝イチで柚葉ちゃんからチョコレートを貰ったのは良いけれど、俺のだけ、小さいラッピングの袋だった。

帰りのホームルーム後にラッピングの袋を見せて自慢して来た男が居る。

「小野(おの)、お前のチョコレート小さいな。俺のは大きいぞ!」

俺の片思いの相手の柚葉ちゃんから大きいチョコレートを貰ったと言い張っているのは、柚葉ちゃんの幼なじみの天木 祥平(あまき しょうへい)。同じクラスだが、いけ好かない奴だ。

「チョコの大きさは関係ないだろ。柚葉ちゃんから貰えたってだけで、幸せなんだからな!」

天木は彼女がいるくせに、幼なじみだからって柚葉ちゃんの周りをうろちょろしている。柚葉ちゃん自身が天木が好きだって気持ちに気付いた時には、既に彼女が居た天木。俺は落ち込んでいる柚葉ちゃんの為に色々元気づけたりしたけれど、一緒に居る時間が増えても友達以上にはなれなかった。

「祥平君、居る?」

「あ、紗夜(さや)ちゃん!居るよ。さっさと連れてってくれるかな?」

「また言い争いしてるのね?懲りないね…」
< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop