チョコレートみたいな恋
教室の中を覗いた紗夜ちゃんは俺に話しかけたが、呆れた顔をしていた。

天木の彼女の紗夜ちゃんはマメな性格で、放課後はほぼ毎日の様に天木を迎えに教室まで来ている。二人は同じバスケ部仲間でもある。

直ぐに二人に別れを告げて、柚葉ちゃんの元へと向かう。

「優真、今日はバイトないんでしょ?」

「今日はシフト入れてないよ」

「じゃあさ、ショップ行ったりしよー」

柚葉ちゃんと過ごせるかもしれないバレンタインデーにバイトなんか入れる訳ない。コンビニのバイトでバレンタインデーだから混むとか無いし、店長も即OKしてくれた。柚葉ちゃんの為なら、ショップでも何処でも着いて行きますとも。

柚葉ちゃんに手を引かれて、ショップに行ったり、雑貨屋に行ったりした。

「……優真にシルバーのアクセをプレゼントしようかと思ってたんだけど…、私のお小遣いじゃ足りなくてごめんね。買えなかったから、コレ。おそろのキーホルダーにしたよ!」

目の前に差し出された物は、有名なアニメ映画の緑のキャラクターの可愛らしいキーホルダーだった。

「優真のシャーペンとか、この子だったから好きなのかな?って思って。優真の誕生日にはシルバーのアクセをプレゼント出来るように頑張るね」

「あ、有難う。子供の頃から大好きなんだ、このキャラクター」

両親が忙しく、寂しい時にはシリーズ物の有名なアニメ映画を見ていた。繰り返し、繰り返し、何度も見た。中でも、緑のキャラクターが大好きで見つけると買ってしまっていた。柚葉ちゃんはそんな俺の持ち物に気付いて居たなんて……知らなかった。

確かに図書館で一緒に勉強した時、筆箱からシャーペンを取り出すのを見ていたのは知っている。他には何かあったかな?
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