"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる


会話もそうだが、さりげないボディタッチや仕草も全て計算の上で成り立っているような気がしてしまう。

前の彼女の時は気づかなかったが、そこから学んだというか。

自然にしているように見えて意識してやっているんだろうなっていうのが分かるようになった。

計算をした上で可愛かったとしても、それは可愛いのだからしょうがない。前なら何も思わず付き合った。

でも、今はそういう女子と付き合って、またすぐに別れる未来しか想像できなくて、気が乗らない。

前の彼女とすぐに別れてしまったせいか、今は計算高い女子が苦手になっている。


「ゆ〜君の話を聞く限りではさ、相沢さんって魔性の女だなって思ってんだけど。……そうじゃないなら、どんな人なの?」

「どんな……」


ポケットに貴重品を入れて歩く無防備な人。


いっつも笑顔で、距離が近くて、自分のペースに持っていってしまう人。

明るくてお人好しで、どんな装いをしていても綺麗な隣人。


だけど、時々、大人らしくて、遠い人。

あと、どこか放って置けない、そんな人だ。


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