"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる
『まもなく、ミスコンの最終結果を発表致します。野外ステージの方へお集まりください』
ミスコンのアナウンスが流れると一気に屋台客は観客へと変わり、屋台エリアの客足が減っていく。
「悠介ー!交代だってよ!」
「おー」
……そういえば、相沢さんは来なかったな。
来ていたとしても会うことは出来ないだろう。残念だが、仕方ない。
いいや、来てくれない方がいいのかもしれない。
「悠介はあの人たちと回るの?」
「あぁ。酒井はそこの女子達と回るんだろ?」
頷く酒井に伝言を頼んでおく。
「ワッフル買ってくれてありがとなって言っておいて。あと、酒井がタダなのは内緒な」
「うん。今日はありがとね!美味しかった」
「どういたしまして。こっちこそ、来てくれてありがとな」
「……つぎはちゃんと、出番教えろよ!」
べ、と舌を軽く出し、一緒に来た女子達の元へと走っていく。
いつもなら、小癪な、と思うところだが、今日は何だか調子が狂う。
女子の怖いところっていうのは髪型一つ、化粧一つ、服装一つで別人になれるところだと思う。
屋台の外がざわつき出した。
もうミスコンの結果発表が始まったのか?
エプロンを外そうと後ろの紐に手をかけた時だ。
「苺のワッフルと桃のワッフルを一つずつ下さいな」
心地いい、柔らかな声がすぐ側で聞こえた。
パッと横を見やれば、受付口につば広のアイボリーハットを被った女性が立っていた。