美術室のユーレイ



「えっ…」



その瞬間辺りの景色がだんだんと遠のいていく。



まるで吸い込まれているみたいだ。




「あれ?舞空ー?舞空ーどこー?」



叶多くんが私を呼ぶ声がする。



私はここだよ!叶多くん!



そう叫んでも叶多くんには聞こえていないようだった。





そのうち辺りの景色が完全に見えなくなり、暗闇に包まれる。




私は闇にのまれた。




上を見ても、下を見ても、右を見ても、左を見ても黒。




黒だけの世界に私はいた。




私は力なくその場に座り込んだ。


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