美術室のユーレイ
「あっそうだ」と叶多くんが声をあげた。
「舞空に話があるんだった」
「話?」
「そう。大事な話」
『そう。大事な話』
一瞬、小学生のころの叶多くんと今の叶多くんが重なったように見えた。
私たちは腕を解いてお互いに見つめ合う。
夕日が電気のついていない部屋の中を照らす。
私たちのところにだけ夕日の光が差し込んできている。
叶多くんの頬が夕日とは別に赤く染る。
そして
「好きだ」
私の目を捉えたまま、そう言った。
開け放たれた窓から風が入り、カーテンが風になびく。
私の目にはもう一度涙がたまる。
「小学生のころから今までずっと好きだった」
そう言い、はにかむように笑った顔は照らし続ける夕日よりもずっと眩しかった。
そんな叶多くんの笑顔をずっと見ていたかったけど、涙で視界がぼやけ、見えなくなった。