溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を




 「それを着て、食事に行こう。少し背伸びしした場所はどうかな?ずっと出歩かないようにお願いしてたから、息が詰まる思いをさせてしまってただろう?」
 「………柊さん………」
 「着替えてきてくれませんか?」
 「はい。喜んで」



 冗談で上品な言葉とお辞儀で誘ってくれた柊に、それに風香も答えた。すると、柊もにこやかに微笑んでくれる。
 柊がリビングで待っている間、風香は寝室で貰った服を取り出した。すると、そこには裾に綺麗なレースが入っている黒のロングドレスが入っていた。生地がとても手触りの良いものでもあり、高価な物だとすぐわかった。胸元が少し開いていたけれど、それも上品に感じる。ドレスと同じレースが使われたヒールはとても形が綺麗だった。ミニバックにはパールの付いたお洒落な作りになっていた。


 「素敵………でも、こんな大人っぽいドレス似合うかな?」


 ドレスの袖を通し、鏡に自分の姿を映す。
 すると、自分でもしっくりしており、風香は驚いた。彼が自分に似合うものをよくわかっているのだ。
 大人びたデザインだったけれど、自分にはこんなドレスも着れるのだ、と嬉しくなってしまう。

 ドレスで着飾った自分を鏡で見て、くるくると回って裾を跳ねさせる。モデルのように立ち振舞い、思わずニヤニヤしてしまう。


 「そろそろ準備が出来ましたか?お嬢さん?」
 「っっ!柊さん!」


 気づくと柊はドアを開けてこちらを覗いていた。「勝手に開けないで」と言うと、「何回かノックしてたんだけど………反応なかったんだよ」と苦笑した。
 その後「でも……」とニッコリと微笑み、風香の元にゆっくりと近づいてくる。


 「コーディネート喜んで貰えたようでよかったよ」


 風香の一人ファッションショーを見ていたのだろう。自分の買った服を相手に喜んでもらえたのが嬉しかったようで、プレゼントを贈って貰った風香よりも喜んでいた。



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