溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を






 帰りのタクシーの中で、2人はこっそり手を繋ぎ、心地のいい酔いを感じながら過ごした。家に帰ってからの事を考えるとドキドキしてしまいそうだったけれど、それさえも何だか懐かしく嬉しさを覚えた。
 初めて柊と繋がった時は、嬉しくて泣いてしまった。それぐらいに彼が大好きで愛しかった。

 そんな普段ならば恥ずかしくて彼と居る時は考えられない事を思い出せるのは、お酒のせいだ、と風香は思うようにしていた。



 柊の自宅に着くと、柊は風香の手をひいて歩き始めた。いつもより早いスピードで、風香は早足になりヒールをカツカツッと夜の道に響かせながら彼の後を小走りついていく。

 柊がドアを開けくれ、風香を部屋に入るよう促した。風香は部屋の中に入る。と、ドアが閉まる前に抱きしめられ、そのまま背中を壁に押しつけられた。
 ヒールを履いているためいつもより、彼の顔が近い。柊は少し顔を下の向けたかと思うと、風香の唇にキスを落とした。そのキスはすぐに深いものになり、風香の口の中にぬるしとした感触のものが入ってくる。ぞくりと背中した震えにも似た感覚に襲われる。
 呼吸をする暇もないぐらいの連続のキスに、風香は必死に彼の体にしがみ着いた。少しずつ体が火照り、力が抜けていっているのだ。




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