溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を



 「風香ちゃん。体は大丈夫?」
 「うん」
 「なら、よかった。俺、すっごい気持ちよかった。それに、嬉しかったよ」


 柊は風香を抱き寄せ、髪を撫でながらそう言ってくれる。風香は照れながらも、その言葉がとても嬉しく、顔がニヤついてしまう。お互いに汗で濡れた肌の感触がひんやりとする。けれど、体の中は熱いのだから不思議だ。


 「沢山求めてくれた。恥ずかしがってるから、そんな風に言ってくれないかと思ってた」
 「………ご、ごめん。なんかその……夢中になってたみたいで、つい……」
 「それが嬉しいんだ」


 そう言うと、柊は汗で前髪がついてしまっていた額にキスをした。


 「そう言えば、俺の事「柊さん」じゃなくて、「柊」って呼んでくれたね」
 「え………」
 「もしかして、そっちの方がよかったの?それなら呼び捨てでいいのに」


 彼の言葉に風香は驚いた。
 いつの間にか、自分は「柊」と呼んでしまっていたようだ。些細な違いかもしれない。
 けれど、風香にとって、この差は大きいものだった。


 「ううん……柊さんって呼びたい」
 「わかった。君の好きに呼べばいい」




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