溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を




 「柊さんとはどうですか?何か変わったことは?」
 「………特に記憶が戻ったような感じはありません。それにメモリーロスを飲んでいるところも、薬自体も見ていません」
 「もし飲んでいる場合は、他人の前で飲むことは少ないでしょうね。こちらでもいろいろ調べてますが、やはり柊さんはプロというか………こちらでも何をしてたのか全くわからないんです。しかも、本人の記憶がないとなると難しいです」
 「そうですか………やはり記憶が戻るまで待つしかないのですか?メモリーロスは長い間飲み続けるとダメだというので、そこが心配なんです」
 

 メモリーロスは脳に直接的に記憶を忘れるように伝える強い薬だ。そのため、長期間使用すれば脳にダメージを与えてしまうのだ。脳は1度受けた傷は自然治癒しない。そのため、障害が残ったり、最悪の死に至る場合があるのだ。
 それが風香の最大の不安でもあった。


 「そうなんですよね……。メモリーロスを飲み続けている場合、柊さんはどこかで薬を仕入れてる事になります。なので、柊さんの事はしっかりと見張ります。もしかしたら、私生活も監視される場合がありますので、その辺はご了承ください」
 「はい。それは大丈夫です。柊の体が1番ですから」


 柊の事を尾行し、何をしているのか監視したいという事だった。そうすることで、風香にも迷惑がかかると思い、今日の話し合いの場を作ってくれたのだろう。柊を監視するとなると、風香の最近の変化を話しておく必要があるはずだと思い、和臣にも伝えておこうと思った。




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