溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を








 「ん…………ここは…………?」


 風香は窓から差し込む太陽の光の眩しさで目を覚ました。太陽はすっかり空高く上がっており、昼前の時間のようだった。
 朦朧とした頭で、今の状況を思い出す。いつもと違う部屋、少しずつのする頭..そして腫れた目蓋、………は毎日の事だったが。そこまで考えてハッとする。昨日の夜の出来事を思い出したのだ。


 「っっ!?今、何時!?」


 風香は部屋をキョロキョロと見渡したが、時計が見当たらず、急いで立ち上がり、窓際のテーブルに置いてあったスマホを見た。すると、時刻は10時になるところ。柊との約束の時間にはまだ十分の猶予があった。それを見てホッした風香はそのままスマホをチェックする。仕事のメールが何件か来ていただけで、柊からの連絡は来ていない。それもいつもの事だった。


 「………ねぇ、柊………。あなたは本当に柊なの?なら、どうして、私を忘れてしまったの?」

 そう呟いてから、風香は一人苦笑した。
 一体、誰に聞けばいいのだろうか。小さく息を吐いた後、風香はスマホを置いて風呂場に向かった。


 12時になれば柊に会えるのだ。
 それまで落ち着いて過ごそう。深く考えずに。会ってから、本当に彼なのかを確認すればいいはずだ。


 風香はそう思い、彼に会うために準備を始めたのだった。




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