溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
風香には、美鈴に「しばらく仕事で遠くに行く」と連絡してもらう事になっていたが、それは警察で準備が整うまで待って貰っていた。柊は着々と準備をしていた。夜を待った。
そろそろ美鈴達が動き出す日が近づいており、そんな時に風香が家にいないとなれば、油断して彼女自身も動くだろうと思っていた。
そして、柊は風香にメッセージを送った。「準備完了した。美鈴にメッセージを送ってくれ」と。けれど、しばらく経っても彼女から折り返しの連絡はなかった。もしかしたら、電話が長くなってしまったのだろうか。そう思い、しばらくの間、待っていた。
「遅いですね、風香さん……」
隣で待機している和臣も心配した様子だった。「あと30分待ってこなかったらホテルに行く」と、部下に伝えた時だった。
柊のスマホが震えた。
すぐにスマホを見ると、メッセージが来たことを知らせる通知が来ており、相手は風香だった。
きっとメッセージ送信完了を知らせるものだろうと柊は疑いもしていなかった。
けれど、メッセージ通知をタップすると、風香からとても長いメッセージが届いていたのだ。
「…………これは…………」
柊はそのメッセージを読んで行くうちに、全身の血の気がひいていくのが、わかった。顔が強ばり、唖然として口が開いてしまう。けれど、最後まで読み終えると、柊はすぐに目の色を変えて、手を強く握りしめた。