溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
エピローグ
エピローグ
今年も白い花が咲いた。
1年前より少し大きくなったその花は、今日も朝日を浴びてとても嬉しそうに花を咲かせている。
騒動が起こってからもう1年が過ぎていた。
あっという間の出来事のようだったが、渦中はとても長く感じられたな、とその花を眺めながら風香は昔の日々の事を考えていた。
「あ………お水あげないと………」
まだボーッとしていたい朝の時間。
けれど、花が呼んでいるような気がして、風香は重い体を起こそうとした。けれど、それを見越していたのか、いつの間にか目を覚ましていた隣で眠っていた彼が風香を後ろから抱きしめた。
「おはよう……風香」
「おはよう。いつの間に起きてたの?」
「今起きたばかりだよ」
そう言うと、柊は風香の髪をよけて、後ろから首筋にキスを落とした。肌と肌とが触れ合う。昨日は、久しぶりに夜遅くまで彼との甘い時間に浸ってしまった。お互いの仕事などが忙しくなかなか求めるがまま何度も、という事がなかっただけに、お互いに求めあってしまったのだ。
「風香、少し声かすれてる………昨日はあんなに乱れてたから……」
「もう!朝から恥ずかしいよ」
くるりと後ろを向き、自分の照れた顔を隠すように彼に体に飛び込む。すると、クスクスと笑い「ごめん。何か嬉しくて」と、柊は言った。
「朝起きたら、同じ指輪を薬指につけた君が居て、とても嬉しそうにしてるのを見たら……なんかまた風香が欲しくなった」
「もう………!でも、ダメだよ。もう起きるの」
「わかってるさ。じゃあ、それは夜のお楽しみで」
柊は風香の頬に触れる。くすぐったさから、彼の胸から顔を離し、柊を見上げると、すかさずキスを落としてくれる。
朝のじゃれあいがこんなにも幸せなのだと結婚してから改めて感じられた。